磁粉探傷試験(MT)について

「非破壊検査」磁粉探傷試験(MT)について|破壊・非破壊検査、構造物調査の株式会社ディ・アール

Q:「磁粉探傷試験」とは何ですか?

A:磁粉探傷試験(Magnetic particle Testing)は、試験体の表面に磁力線を発生させ、そこに磁粉を吸着させ目視での確認を容易にするものです。磁気探傷試験とも呼ばれます。
また、磁石が持つ吸着力を増幅するための軟鉄板(継鉄)を使用しますが、これを称してヨークといいます。

Q:前処理はどのように行いますか?

A:磁化(試験)を行う前に機械的または化学的な処理法によって油脂・塗料・錆などの汚れや異物を取り除き、きずに磁粉が吸着しやすくし、更にきず部以外へ磁粉が付着することによる疑似模様の発生を防ぎます。

Q:メリットは何ですか?

A:きずを浮かび上がらせて目視で確認できることです。

Q:デメリットは何ですか?

A:試験体が磁性体に限定されることです。磁石がつかない部材(アルミ、ステンレス、チタン)には使用できません。

Q:表面が開口しているきずのみが検出対象ですか?

A:試験体表面に開口していなくても、表面から2~3mm程度の深さにあるきずも検出可能です。

Q:きずの深さ・大きさは分かりますか?

A:深さは分かりません。大きさは、きずに磁粉が収着して目視で確認できるようにするための試験ですので同様にできません。

Q:明るい場所でも試験可能ですか?

A:蛍光磁粉と非蛍光磁粉がありますのでどちらでも可能です。

Q:電源は必要ですか?

A:ポータブル発電機を弊社で準備できますので不要ですが、発電機を据える場所の確保と対象になる検査部材があまり離れていないことが望ましく、事前にご連絡ください。
距離があればあるほどケーブルを繋いでいきますのでドロップの原因となります。

Q:1日にどれくらいの量ができますか?

A:磁粉探傷試験では溶接線を検査することが多いですが、1溶接線が長くても短くても作業時間はそれほど変わらず、検査する状況によって変わります。作業しにくい状況では1日10数部位(10m)くらい、作業しやすい状況では20部位(20m) 以上できます。

Q:ペンキやメッキの上からできますか?

A:ペンキの上からはできません。塗膜の上からでも磁石は付くのですが、塗膜の下の鋼材のきず・割れの磁粉模様が塗膜の上に現れないため、そのままでは探傷ができません。
ペンキ塗装がされている場合は、溶接部および両側10mm程度の塗膜を剥がし探傷を行います。または、まず目視調査を行い塗膜割れが確認できた箇所の塗膜をグラインダーにて剥がし磁粉探傷試験を行います。
溶融亜鉛メッキは、磁粉の種類を黒色(数種類あり用途に応じ使い分け)にすれば溶融亜鉛メッキの上に磁粉模様が現れ日中でも探傷可能です。
鉄塔などの調査工事においては、溶融亜鉛メッキを剥がさずに行われているようです。

Q:磁粉探傷試験はどのような報告書ですか?

A:試験により現れる磁粉模様をデジカメで撮影します。撮影時に、きず・割れの磁粉指示模様の近傍にスケールを置き同時に撮影し、きず・割れの長さ、幅の目安にします。
報告書には、きず・割れによる磁粉指示模様の有する箇所や、きず・割れによる磁粉指示模様の無い箇所の写真を添付し提出します。

その他、磁粉探傷試験についてのご質問は、(株)ディ・アールへお気軽にお問い合わせください。